地理学専修の紹介

 

1 育てたい学生像
 地理学専修では地理的見方・考え方を修得して,それをバックボーンとして教育現場ほかで自ら成長していける人材の養成を目指しています。地理的見方・考え方は,小学校社会科の中学年における地域学習だけでなく,高学年の産業学習や地域を対象とした総合的な学習の時間でも,単元構想や地域現象の教材化に役立つものです。例えば,地域の農業を例にすると,農業という経済活動は自然条件を基盤に人間が行うものであり,「自然と人間の結びつき」や生産された農産物の販売先をみれば,生産地と消費地の結びつき,すなわち「地域と地域の結びつき」によって成り立っていることがわかります。このように,地理的見方・考え方は,地域の現象のしくみを解きほぐし,地域の特色やその構造を考える手段といえます。地理的見方・考え方をバックボーンに,教師ほかとして成長していける人材の養成がスタッフ一同の願いです。



2 何を学ぶのか-授業科目とその内容

 愛知教育大学のカリキュラムは共通科目,専門教育科目,自由科目で構成されます。このうち,ここでは地理学専修の学生にとって,身近な専攻科目のうち教科専攻科目について説明しましょう(他の科目は,カリキュラム参照)。地理学専修の教科専攻科目は以下のように配列されています。ただし,現在は新カリキュラムと旧カリキュラムが併存し,2年生までが新カリキュラムです
1年生 地誌概説Ⅰ 地理学基礎Ⅰ
2年生 地理学基礎Ⅱ 地理学実験 地理学基礎演習
     地理学野外実験Ⅰ・Ⅱ
3年生 地理学特論Ⅰ 地誌概説Ⅱ・Ⅲ 自然地理学基礎
     地理学演習 地理学論文演習Ⅰ・Ⅱ 地理学野外実験Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ
4年生 地誌特論 地理学研究法Ⅰ・Ⅱ 地理学論文演習Ⅲ・Ⅳ


地誌関連の講義では日本をはじめ,中国や韓国・インドなどのアジア地誌,フランス・英国・オランダなどのヨーロッパや米国地誌が専任スタッフの研究フィールドを反映して開講されています。簡単にいえば,それぞれの国の仕組みを地域的に(あるいは空間的に)学ぶことができるものです。これに対して,地理学基礎は地理学の基本的な考え方や見方をさまざまな例から学びます。とくに自然地理学基礎は地形・気候・水文といった自然地理学の各分野の基礎となる見方を学びます。これに対して,地理学特論は地理学の特定分野のより専門的な学びを行うものです。野外実験を除く,演習や実験は調査法,分析,主題図作成など,自ら地域で調べて考えることができるようになるためのものです。それを実際に身につけるのが,野外実験です。例年,野外実験は九州・沖縄,四国,近畿や愛知県内のほか,韓国で行われています。以上のような科目を通じて,地理的見方・考え方を養い,4年生の卒業論文作成ではその集大成が問われることになります。

 

3 取得可能な免許は

 取得可能な免許状は,以下の通りです。初等教育課程か,中等教育課程かで主免許状および副免許状の幼稚園教諭免許状の取得状況が異なるものの,基本的に愛知県下では,小学校・中学校の人事交流が行われているため,複数免許状を取得していく学生が一般的です。初等教育専攻であれば,男子学生でも幼稚園免許を取得していくケースが多くなっています。このほか,学校図書館司書教諭,社会教育主事,学芸員なども所定の単位を修得すれば取得可能です。詳しくは,取得可能な資格・免許
課 程 主免許状 副免許状
初等教育課程 小学校教諭1種免許状 中学校教諭1種免許状
高等学校教諭1種免許状
(地理歴史)
幼稚園教諭2種免許状
中等教育課程 中学校教諭1種免許状 小学校教諭1種免許状
高等学校教諭1種免許状
(地理歴史)

 

4 卒業後の進路は?

 2009年度卒業生20名のうち,教員となったものは17名(常勤講師2名を含む,注:この2名は2010年度教員採用試験にて合格)で,他は本学特別専攻科進学,一宮市役所,岡崎市保育職員(常勤,注:2010年度に合格)でした。また,2008年度卒業生17名のうち,教員となった者は11名(常勤講師2名を含む)で,他は本学大学院進学者1名(この者は大学院修了後教員へ),民間就職5名(アイシン高丘,トヨタケーラム,ドルトンスクール名古屋,三井住友銀行,ウエイアウト)でした。また,2007年度は卒業生18名のうち,教員となった者は16名(常勤講師2名を含む)で,他は本学の6年一貫コース進学者としての大学院進学,民間就職各1名でした。近年の教員以外の就職先は,愛知県警,三菱樹脂,HIS,名鉄観光サービス,愛知県中央信用組合,学習塾などの他, 官公庁関係では市町村役場などです。また本学の大学院をはじめ他大学の大学院に進学し,研究者への道を歩む人もいます。